
A Window of Memories
あらすじ
山形国際ドキュメンタリー映画祭2025 インターナショナル・コンペティション部門 出品 第28回 ゆふいん文化・記録映画祭 出品 ●Introduction 誰かのことを思い出し、語りたくなる<聞き書き映画> 『A Window of Memories』は、これまでベルリン国際映画祭などで国際的に評価されてきた清原惟監督が、はじめてドキュメンタリー的手法で制作した<聞き書き映画>である。監督が母方と父方それぞれの祖母から聞いた人生の話を、祖母と一緒にテキストに起こし、それをふたりの俳優が朗読するというこれまでにない手法で紡がれている。 三宅唱監督『THE COCKPIT』、草野なつか監督『王国(あるいはその家について)』、小森はるか監督『空に聞く』、小田香監督『セノーテ』などの注目作を手がけてきた、愛知芸術文化センター・愛知県美術館のオリジナル映像作品として制作され、昨年開催の山形国際ドキュメンタリー映画祭2025ではインターナショナル・コンペティションに選出、観客から高い評価を受けた 出演するのは、劇団ままごとに所属し演劇ユニットhumunusのメンバーでもある小山薫子と、パフォーミングアーツコレクティブ「バストリオ」や、バンド「山二つ」のメンバーとして活躍する坂藤加菜。スタッフには清原監督と旧知の仲である太田達成(『石がある』監督)、岩﨑敢志(『うってつけの日』監督)が助監督や構成としてクレジットに名を連ねている。 小さな声を拾い集めてきた清原監督のこれまでの作品とも共通するテーマをもつ本作は、日記を書くような親密さで、身近な人の声に耳を傾け、どんな人にもあるであろう人生のきらめきを信じる力に満ちている。誰かのことを思い出し、語りたくなる傑作が誕生した。 ●Story 記憶の窓をひらいて、あなたと出会いなおす 「私が聞かなかったら、この話はどこに行くんだろう」。ふとした時に聞いた祖母の若い頃の話に心動かされた監督は、母方と父方それぞれの祖母から人生の話を聞こうと思いたつ。忘れないようにと回し始めたカメラに映る、家族、戦争、仕事、結婚、飼い犬、友だちの話。同世代である二人の、交差しながらも全く違う世界を、祖母たちと共に文字に起こしていった。そうやって編まれた物語を、監督は二人の俳優に託し、一日をかけて朗読してもらう。やがて世界にたったひとつの物語が、見ている私たちの記憶に連なっていく。知らないはずの記憶があなたやわたしと呼び合い、こだまする。 ●Director’s comment 清原惟(きよはらゆい) 子どもの頃、父方の祖母と母方の祖母の家に、それぞれよく遊びに行っていました。二人とも私の「おばあちゃん」なのに、二つの家の場所は物理的にも離れていて、生活のあり方も全然違うものだったことがとても不思議でした。それぞれの家に行っている時は、まるで別の世界を行き来するような感覚だったように思います。 そんな祖母たちの話を、じっくりと聞いてみたくなったのは、母方の祖母の一言がきっかけでした。私が子どもの頃にはとうに全盛期を終えていた祖父の工場(こうば)で、妻である祖母も働いていました。祖母が言ったのは、その工場を自分が切り盛りしていて、時には経営の判断もしたりしていた、ということでした。祖父を立てる必要があり、そのことは長らく誰にも話してこなかったそうです。一度も聞いたことのなかったその話に驚き、祖母の内にあるさまざな思いが私のなかに流れてきたのでした。このまま、ちゃんと話を聞く機会がなかったとしたら、しまわれた話はどこに行ってしまうのだろう。かき立てられるように話を聞き、記録をし始めました。 映画では、祖母たちの言葉で語られる人生を、祖母たちと共にテキストに落としこみました。 それを、私と近い年代の二人の女性に朗読してもらっています。朗読する二人の声や身体を通して、人生の出来事が読み上げられる時、他人同士である祖母同士や、読んでいる俳優と祖母たちの記憶が重なり合ったり、混じり合うように見える瞬間に立ち会いました。 祖母たちの語りは、絶対に誰のものでもなく彼女たち自身のものです。そうした固有の経験や語りを、普遍性を帯びた物語として他者と共有することは可能なのか。このことは制作中ずっと考えていたことでした。
- 監督
- 清原惟
- 出演
- 砂子旭子, 清原磋智子, 小山薫子, 坂藤加菜
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